◇2020年を迎えて◇
2011年10月に法人化した熊本マンガミュージアムプロジェクトは、おかげさまで順調に活動を重ねて、9年目を迎えようとしています。
立ち上げ時に、私たちは活動方針として3つの柱を掲げました。
その後それらがこれまでにどう実を結び、今私たちに何を見せ始めてくれているのか。
以下に、ご報告したいと思います。
【これまでの活動方針の進捗状況】
〈1 マンガの魅力をひろく発信する〉
熊本が多くの漫画家や漫画研究者を生み出した「マンガ王国」であることは、今は広く認められています。
そのきっかけは、2012年7月から9月の「漫画王国熊本 マンガミュージアム展」でした。
熊本近代文学館(現くまもと文学・歴史館)が主催し、クママンも全面協力した夏休み期間中の企画展です。
ここからマンガの魅力・熊本の魅力が、あちこちで発信されるようになります。
〈2 マンガの力で熊本を活性化する〉
第一歩は湯前町でのイベントでした。
うえやまとちさんに湯前町に来てもらって、「マンガクッキング IN 湯前」を一緒に行いました。
そのとき、コミックモーニング連載中の「クッキングパパ」に湯前町を取り上げてもらい、そこから湯前町は一気に、全国にその名が知られるようになっていきます。
今では「マンガでのまちおこしに成功した自治体」の一つとして、湯前町は多くの人に知られる存在となっているのです。
〈3 熊本マンガミュージアムの設立〉
2012年の熊本近代文学館でのシンポジウムにおいて、私はマンガミュージアムを2016年までに設立すると宣言しました。
予想もしなかった熊本地震のため遅れはしましたが、2017年7月には「合志マンガミュージアム」が開館。
合志マンガミュージアムをハブ施設として、今後は先行施設との連携を図りながら、さらに拠点のミュージアムを展開し、ネットワークを繋げていく構想を描いています。
【クママンがめざすもの 1】
クママンの注目度が高まり活動範囲が広がってくると「一体私たちは何のために活動をしているのか」 それがふと、分からなくなるときがありました。
そこでもう一度、原点に立ち返ることにしました。
私たちが目指しているものは何なのか。
それを問い直すためです。
一言で言えば、「マンガのタイムカプセル」を作ること。
それがクママンの最終目標です。
別の言葉に言い換えるならば、「マンガのアーカイブ(保管所)」の設立と言えます。
では何をアーカイブするのか。
対象は「戦後マンガ史のエポックとなるような単行本」「その時代の空気が感じられるような雑誌」です。
たまたま私の世代は、そのエポックすべてを体験してきました。
ですから、物心ついたときから今に至るまで、目の前を通り過ぎていったマンガを集めることで、それがそのままアーカイブとなるのです。
【クママンがめざすもの 2】
とはいえ、ただマンガを集めるだけでは、次世代には繋がりません。
時代を象徴するマンガを選別し、見やすいように並べ、解説をつけるという作業が必要になります。
それがミュージアムの役割です。
しかし、これまでに生み出されたマンガは膨大な量になるため、とても一つの館では収まりきれません。
そこで様々な場所にミュージアムを作り、収蔵物の分散を行います。
それは同時に、地震などの想定を超える出来事からのリスクを抑えることにも繋がります。
また、副次的な効果として、各地に広がるミュージアムをネットワーク化することで、ミュージアムのツアーも企画できるようになります。
私たちは、そんなネットワーク型のミュージアムをめざす意味を込めて、自らを熊本マンガミュージアムプロジェクトと名付けたのです。
ネットワーク型のミュージアム実現のために、他の先行するミュージアムや関係諸機関の力を借りて、熊本に大量のマンガが集まってくる仕組みも、併せて作り出しました。
熊本を拠点の一つとした、全国規模のアーカイブが、こうして現在、構築されつつあります。
その成果においても、私たちが目指す、ネットワーク型のミュージアム実現のための第一歩は、2013年の湯前まんが図書館の設立協力だったと言えるでしょう。
そして開館以来、多くの皆様にご来館頂いている合志マンガミュージアムは、これから整っていくことを期待される、在熊ミュージアム群のハブ施設に位置付けられていくことでしょう。
特定非営利活動法人
熊本マンガミュージアムプロジェクト
代表 橋本 博